生産性の持つ意味は、人によって、あるいは会社や業界によって異なるかもしれません。しかし、好ましい結果を出すには、人がいかに効果的に仕事ができるかどうかが常に重要です。
生産性とは、結果や恩恵、利益を生み出すことで、あらゆる業界が何らかの形で生産性を追求しています。それはビジネスや教育、医療などどんな分野でも同じです。ただ、組織や個人が求める結果、恩恵、利益はさまざまですが、人のパフォーマンスには重要な要素があります。生産性を上げるには、自分の役割に関係なく、アプローチを変えていかなければなりません。
オフィスデザインの観点から見た生産性
最近行われたSteelcaseの調査で、オフィスのオープンスペースに対する否定的な意見がいくつか明らかになりました。オープンスペースは隅々まで快適で自由に動き回れ、環境に溶け込めるにもかかわらず、従業員は従来のワークステーションを手放せずにいます。その理由は、便利で慣れているからです。従業員たちは、デバイスを接続したりアイデアを書き留めたり、自分のスタイルに合わせてスペースを調整できる場所を求めています。
中国のJoyeaは、従業員のニーズに応えつつ生産性を高めるため、変化に取り組んだ良い例です。この会社では、さまざまな人のあらゆる仕事のスタイルに合わせてスペースをデザインし、テクノロジーやコラボレーションツールにアクセスするというニーズに対応しました。その結果、創造的思考、独立した作業、コラボレーションを可能にする、包括的で快適かつ生産性に富むオフィス空間が生まれました。従業員はダイナミックな環境でいつでも必要な時に共同作業ができるようになり、集中力を犠牲にすることなく、個々のニーズに対応したさまざまな個人用スペースも設けられました。
教室デザインの観点から見た生産性
全世界の学校は、企業とは異なる視点で成果を追求しています。学生によるパフォーマンスやエンゲージメントは学校にとって重要な目標ですが、教室での生産性の目安でもあります。学校も教育者も、適切なツールと手法がなくては、生徒を上手に会話に参加させることも能動的学習に参加させることも望めません。作業をしながら協力し合って問題を解決できるコラボレーションツールを取り入れると、血行が良くなって脳の機能を強化することができます。
マグネット式のホワイトボードや、グラフや文字の書きやすいホワイトボード グリッドラインのついた黒板などのコラボレーションツールを活用し、実用性を高めることで、授業内容に対する生徒の集中力が高まります。また、ボードを使った作業のための事前の準備が少なく、指導者が生徒に費やす時間が増えるのもこのアプローチのメリットです。
ヘルスケアのデザインの観点から見た生産性
医療団体は、結果を出すためにビジネス慣行に従わなければならないものの、生産性については独自の見解を持っています。ある医師が書いたForbesのゲスト寄稿記事は、「エビデンスに基づく医療によるコスト抑制に配慮しつつ質の高い再現可能な成果を上げるには、生産性は指標ではなく、患者とその個別のニーズに基づくべきである」としています。つまり、生産性は医療施設で診療を受けられる患者の人数ではなく、細かく調整された効果的な患者ケアのプロセスから生まれるケアの質で決まるというのです。
この考え方に従うと、組織の生産性を高めるには医療提供者とスタッフ、患者の間の効果的なコラボレーションが不可欠になります。そして、関係者らが効率よくコミュニケーションを取れるようにすることが、施設とケア両方の生産性向上につながります。
生産性の持つ意味は、人によって、あるいは会社や業界によって異なるかもしれません。しかし、好ましい結果を出すには、人がいかに効果的に仕事ができるかどうかが常に重要です。ここにご紹介したような生産性の向上に取り組むためには、組織は、生産的に仕事をするための要件と、効果的に連携するための要件を理解し、将来に向けて変化を取り入れる努力をしなければなりません。