Shriners Hospitalsで耐久性に優れた壁画を制作

投稿日: | ヘルスケア

希望と癒し

Shriners Hospitals for Childrenのミッションは、家族を中心とした環境であらゆるケアとサービスを提供することです。新しく設立されたLexington Shriners Medical Centerも例外ではありません。不安や怖い思いを抱きながらセンターに足を踏み入れる子ども達は、横40フィート、縦7フィートのバージニア州のアパラチア山脈の写真をまず目にします。耐久性に優れた大きなa3 CeramicSteel製のキャンバスに施された写真には、手前に緑豊かな丘陵、背景にはブルーリッジ山脈が写し出されています。その風景には、輝く太陽の光、淡いブルーの雲、赤みがかった鳥のイラストが重ねて描かれており、まるで幼い患者さんたちに「ここは安全な場所だよ。」とウィンクしながら伝えているかのよう。

「患者様のケアを行うエリアには、グラフィックやアートなど、魅力あふれる作品を設置したいと考えていました。お子様らやご家族にとって、心惹かれる楽しい作品を取り入れたいと前々から思っていたのです。」と病棟プロジェクトを委託された建築会社、SRG Partnershipの上級アソシエイトであるJessica Mistrettaは語ります。SRGのオレゴン州ポートランドオフィスは、ニューヨークを拠点とする応用素材会社であるDesignTexと、メイン州ポートランドを拠点とする表面イメージング クリエイティブチームと共同で画像の制作を行いました。

この施設には、松葉づえや車いすを使う整形外科の患者様が多く訪れるため、壁にぶつかったりする可能性があります。また、壁にマーカーやクレヨンで絵を描きたがる小さな子ども達がいることは言うまでもありません。そのため、これら大型作品は、割れたり、傷付きやすいものであってはなりません。入念なリサーチの末、Designtexのスタジオは、待合室からエレベーターホールまでの往来の激しい場所向けに、ほぼ破損不可能な磁器加工スチール製の表面クラッド材であるPolyvisionのCeramicSteelを提案しました。サンフランシスコに住むDesigntexの画像スペシャリストの一人であるJoanne Rarangolは、次のように語ります。「CeramicSteelは、印刷可能な基盤の中でも最高の製品です。この製品は、特にヘルスケア産業における多くのプロジェクトでは非常に需要の高いものです。その理由は、耐久性、掃除のしやすさ、抗菌性、耐火性、耐スクラッチ性、落書きに耐えるという特長を持ち合わせているためです。また、当社のお客様の反応も上々です。」すべてを考慮した結果、医療センターの3つのフロアに12枚の壁画を構成するために、デジタル印刷が施された88枚のCeramicSteel金属製ウォールパネルが考案されました。

新たな始まり

Shriners Hospitalsは、誕生直後から18歳までの子ども、時には21歳までの患者様に対する治療を行っています。「年齢、発達のスピード、運動機能、精神的な成長、活動量はさまざまです。」とShriners Medical Centerの広報を担当するMorgan Hallは言います。「小さな子から10代の子ども達が受ける治療の範囲は広く、その期間も長いため、長く維持できる医療センターが必要でした。そして、子ども達がセンターに活力を与えてくれるため、当センターもそのような存在でありたいと願っていました。」

小児病院では特に、幼い患者様とその世話をする大人という、愛情とケアを特に必要とする二者が存在します。大勢の大人たちを惹きつける作品として、Designtexの表面イメージングクリエイティブチームは、50フィートもの特大パネルに印刷できる写真を探し、テストしました。最終的には季節をテーマとして、ケンタッキー州を象徴する風景に加え、同医療センターをとりまくバージニア州、ウエストバージニア州、オハイオ州、テネシー州、インディアナ州の風景を取り入れることを決定しました。Mistretta氏は、「あまり小児病院らしさを強調するものは求めませんでした。Shrinersでは、患者様が少なくとも18歳になるまで治療を行うからです。ですから、患者様の全年齢層とそのご家族にとってつながりを感じやすいアートを求めていました。」ある廊下では、新雪に覆われた森の風景写真が飾られ、次には新緑がまぶしい春の写真、さらにその先には岩場を流れる夏の清流の絵が飾られています。3階のフロアにかかる橋には、クローバー畑に寝転ぶ子ども達の写真に、スマイリーフェイスの花のグラフィックが重ねて描かれています。

Lexington Shriners Medical Centerが持つ歴史とのつながりを保つために、Designtexの表面イメージングチームは、メイン州在住のフォトグラファー、Ryan Shimala氏に依頼し、医療センターが毎年主催する乗馬キャンプに参加する患者様を撮影してもらい、その写真を同センターのジムに壁画として飾りました。さらに、チームは2階のエレベーターホール用の壁画として、テネシー在住のフォトグラファー、Joshua Dudley Greer氏にリッチモンド通りに建つ旧Lexington Shriners Hospital の撮影を依頼しました。「これにより、患者様や地域に合わせた医療センターとしての存在感を示すだけでなく、以前の病院とのつながりも保てることが素晴らしいですね。」と、Designtexのデジタル製品部門長のKaren Gelardi氏は語ります。「患者様、スタッフ、ご家族が自分の居場所だと感じることができると思います。彼らの意見により、私たちは作品の方向性を形作ることができました。デザイン過程のあらゆる側面において、最優先なのはShrinersコミュニティです。この空間がコミュニティのためにあると感じていただけると思います。」これらのカスタム画像を丁寧に再現できるよう、チームはプレスの前段階でカラーの管理と印刷の品質に細心の注意を払いました。

そこで、チームはメイン州ポートランド在住の人気グラフィックアーティスト、Christopher David Ryan氏に動物のイラストを描いてもらうことを依頼し、それぞれの季節写真に温かみを加えることにしました。たとえば、3階フロアの待合室の壁には、紅葉が鮮やかな木々の写真が飾られているため、Ryan氏はその廊下にあるそれぞれの診察室に、フクロウ、鹿、キツネ、ピューマ、クマのイラストを描きました。センターの診察室には、合計25もの動物が描かれています(以前の病院のビジュアルテーマは動物だったため、動物のイラストを新しい医療センターの診察室に描くことで、2つの病院とのつながりを示すことにも役立っています)。

施設に楽しい雰囲気を加えることのほか、医療センターに飾られたCeramicSteelの壁画とグラフィックは、ウェイファインディングとしての目印の役割も果たしています。スタッフは、訪問者に季節で場所を示すことができます。たとえば、季節がテーマの待合室から、動物がテーマの診察室まで案内することに役立っています。「10室から12室もの診察室が並ぶとても長い廊下もありますが、看護師は『クマが描かれた診察室でお待ちください』と案内できるのです。」とMistretta氏は言います。

セラピーとしてのアート

医療提供者は、患者様や治療にアートが効果的であると常に感じていましたが、近年は根拠に基づいたデザイン分野での研究が増えており、その効果が実証されています。患者様がアートに触れると、入院期間が短くなったり鎮痛剤の量が減らせたりするほか、ストレス軽減、血圧と心拍数の低下、痛みの度合いの低下、医療サービスに対する満足度向上、さらには治療費の低下といった経済的効果にもつながることが示されています。

Society for the Arts in HealthcareとNational Endowment for the Artsが2003年に行った研究によると、医療環境におけるアートワークにより恩恵を受ける3番目のグループが存在し、それは同環境で毎日働く医師や看護師であることが分かっています。米国では、アートプログラムを持つ病院の半数以上が、医療関係者のストレスを軽減し、燃え尽き症候群と離職を防ぐためにプログラムを導入していると報告しています。同センターで患者ケアサービス担当責任者から暖かいハグをされたMistretta氏は、このプロジェクトの成功を確信しました。その責任者は、グラフィックをとても気に入っていること、患者様とスタッフが喜んで作品とともに写真を撮っていることをMistretta氏に伝えました。

「診察室を真っ白な壁にして、目に入るのが医療機器だけということは避けたかったのです。」とMistretta氏は言います。「患者様のエクスペリエンスから医療の側面を取り除こうと思いました。」

実際に、完成した医療センターは辛い場所というよりも、自ら進んで行きたい場所になっています。

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PolyvisionとDesigntexについて

PolyvisionとDesigntex(いずれもSteelcase傘下の企業)は、2015年12月にパートナーシップを結び、独自のサービスを創り出しています。Designtexによるデザインコミュニティへの深いつながり、幅広い画像のポートフォリオ、表面イメージングに関する専門技術をPolyvisionが提供する独自の製品ラインナップと厳しい環境に対応できる能力と組み合わせ、建築家やデザイナーにとって理想のパートナーが実現しました。

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