ヘネピン図書館

投稿日: | 教育

アメリカ中西部に新しく建設される図書館の中核となる壁画に、耐久性のある素材を探していた公共物を専門とするアーティスト2人が出した答えは、CeramicSteelでした。テキサス州ヒューストンを拠点とするRE:site社のアーティスト、Shane AllbrittonとNorman Leeは、百科事典の豊かなイメージを331枚のアコーディオン状のパネルで表現したいと考えました。2人は以前のプロジェクトから、この素材の表面が紫外線に強いこと、また特殊な印刷プロセスにより、作品を長く鮮やかに保つことができることを知っていました。ミネアポリス郊外のブルックリンパークにあるこの図書館は、ヘネピン郡図書館システムがリニューアルに着手した最新の建物で、40年前の建物の2倍以上(総面積39,000平方フィート)の大きさです。外装には、スレート、亜鉛金属パネル、ヒマラヤスギのサイディングといった、流行に左右されない素材が用いられています。1階建てのこの建物には、ミネソタの長い冬の間、室内に光を最大限取り込むための大きなクリアストーリーウィンドウがあり、内装に用いる素材も時代を超越することが必須条件でした。毎日何時間も光が当たるため、「厳しい日差しに耐えられる素材が必要でした」と、Leeは話します。

館内には3つのゾーンがあり、本を借りたりクラスに参加したり、ネットで調べ物をしたり、あるいは人と会うなど、地域のリビングルームのように機能することを意図しています。また、STEM(科学、技術、エンジニアリング、数学)の学習拠点としても設計されたこの建物には、書棚や閲覧席だけでなく、風洞や顕微鏡、子供がマグネットタイルを組み立てることができるテーブルなど、さまざまなものが設置されています。魅力あふれるこの図書館には、向かいにあるコミュニティカレッジの学生をはじめ、地域全体から人々が集まります。また、この図書館は将来、軽量軌道交通(ライトレール)が延長された際の駅にもなる予定です。この図書館はこれからもコミュニティのリビングルームであり続け、長持ちするように作られているのです。

ブルックリンパークにあるヘネピン郡図書館は、小さな作品をたくさん使うより、ひとつの大きな作品で視覚的かつ象徴としてもプロジェクトの要となるようなアートを採用したいと思っていました。図書館のスタッフは当初から国内大手の建築事務所、HGAと協力し、建物の設計図に大きなアート作品を組み込みました。そのために用意されたスペースは、図書館のガラス張りのエントランスに面したメインの垂れ壁の半分であり、通りや、そこを通り過ぎる人々から見えるようになります。そのため、アートは気持ちよく人を迎えるような、生き生きとしたものでなければなりません。図書館のコミュニティ諮問グループとタスクフォースによるアーティストの募集では、図書館を「人々が集まる場所、そして世界の情報、文化、本にアクセスする場所」とイメージしていました。

RE:siteは、図書館に出入りする人々を映し出すと同時に、図書館にある本からさまざまな学びを体験するよう人々を誘う、インタラクティブなパノラマ壁画という巨大なアート作品を制作するために選ばれました。図書館の内部に設置された331枚のCeramicSteelパネルには、それぞれ個別のデジタル画像がプリントされており、図書館でその作品の前を歩くと、まるでアコーディオンのように広がって見えます。図書館がアートの制作者を選定するにあたってRE:siteが語ったように、同社は「アートとテクノロジーを媒体とし、数学と科学のレンズを通して、世界文化の物語を地域の地理と並べて伝える」という非常に野心的な目標を達成したいと考えていました。作品の前を一方向に歩くと、指紋や世界のアート、古代の化石、渦巻く銀河など、グローバルなトピックが見えてきます。最後まで見終わった後、元の方向に歩くと、地域に固有の植物やモン族の刺繍、生物医学のイメージ画像、ミシシッピ川の渦巻く流れなど、ローカルなトピックが現れます。それはまるで、たくさんの情報がぎっしり詰まったカラフルな背表紙の本が並ぶ棚の前を歩くような体験です。

「私たちは、この折りたたみ式、あるいは展開するモチーフは、図書館で本が積み上げられているように見えるだけでなく、本が開く様子にも例えられることに衝撃を受けました。さらに、『数学と科学を通じ、地域文化の物語や広範な地理を伝える』という図書館のミッションステートメントからもインスピレーションを得ました」とLeeは話します。ヘネピン郡システムサービス部門責任者のAli Turnerも、「『発見の場』であることに誇りを持っています」と満足しています。

この壁画には、黄金比を取り入れた複雑な層が追加されています。本のページのデザインは、グーテンベルク以来、黄金比に基づいているため、Leeと共同創設者のShane Allbrittonは、その比率に基づく黄金のらせんをレンズに見立て、それぞれの主題が透けて見えるようにしました。「これらの比率は、銀河系のらせんからハリケーン発生のしくみ、貝殻のらせんなど、自然界に見られるものです」とLeeは言います。歩いて見る人にパネルが直線的に広がると同時に、壁画に描かれたイメージはらせん状にも展開します。

図書館が募集したアーティストの募集内容には、「ペイント、タイル、ガラス、軽量レリーフ素材など、あらゆる媒体を考慮します」と書かれていましたが、RE:siteは以前に2つの屋外プロジェクトでPolyvisionのCeramicSteelを使用したことがあり、その特性が彼らのデザインを完璧に描き出すものであることを理解していました。特殊なエナメル加工技術により、紫外線に強い表面に直接フルカラーのイメージを焼き付け、アートの儚さと素材の永続性を融合させます。「今回は屋内のプロジェクトで、天候のように厳しい条件にさらされるわけではありませんが、それでもカーテンウォールの大きな窓からは陽射しが差し込みます。私たちは、色あせないものを求めていました。」と、Leeは振り返ります。ヘネピン郡図書館の部門責任者でもあるTurnerは、このアートは「建物の寿命がくるまで残るような」恒久的な作品を目指したと語っています。RE:siteはTurnerと図書館関係者に、Polyvision製のCeramicSteelが最適な選択肢であることを伝えました。「その優れた耐久性と清掃のしやすさが決め手となりました。これは公共の建物なので、清掃の頻度など、実用的なことも考慮しなければなりません」と、Turnerは話します。RE:siteは、Steelcaseの子会社2社と手を組みました。CeramicSteelの世界的なトップメーカーであるPolyvisionは、素材を製造し、高度なデジタルプリンターでその上にグラフィックをプリントしました。テキスタイルや壁紙などのデザインを手がけ、建築環境で使用する材料の設計・製造におけるリーダーであるDesigntexは、ベルギーにあるPolyvisionのセラミックインク式デジタルプリンターで画像の最終調整とカラーの調整を行う際、RE:siteをサポートしました。ウォータージェットで理想的なサイズと角度に丁寧に切断された何百枚ものパネルは、Polyvisionがラベルを付け、設営者がそれぞれの設置場所が正確に分かるようにしました。このチームにはアートプロジェクトの管理を専門とするヒューストンに拠点を置くMetalabも参加し、アートを吊るすシステム作りと設置を担当しました。

その結果、壁画は大きな発見と学びの象徴となり、本が豊かな学びをもたらすように、この壁画もパネル一つひとつが発見を待つ題材となっています。しかし最も素晴らしい点は、コミュニティが感嘆し、関心を持ってくれることです。Leeは、「私たちは、コミュニティのものとなる何かを作ることに関心があります。確かに制作するのはアーティストですが、それが地域の人々のものとなり、それが地域の一部となるものです。彼らの図書館ですから」と説明しています。

お問い合わせ

ご注文依頼、採用情報、企業情報、その他ご質問など、お気軽にお問い合わせください。